ズボンの横ポケットあたりから大腿前面にかけての痛み、熱感、しびれ・・・「中間広筋の筋痛症」で心療内科!?
「中間広筋の筋痛症」について、接骨院の院長が語ってみた。
石川県金沢市の八日市町にある接骨院「大川接骨院」の院長の大川です。
このコラムでは、院長が接骨院の現場でよく見る症例、思うことなどを綴っております。
今回のテーマは「中間広筋の筋痛症」です。
ズボンの横ポケットあたりから大腿前面にかけての痛み、熱感、しびれ・・・それが「中間広筋の筋痛症」の症状です。
「大腿四頭筋」は、その名前の通り4つの筋で構成されています。「内側広筋」「中間広筋」「大腿直筋」「外側広筋」です。
内側広筋に異常があれば、主に膝内側の痛みが出ます。
「半月板損傷」や「変形性膝関節症」の名のもとで手術されるのは、ほとんどがこの筋肉「内側広筋」の痛みです。
外側広筋は膝外側の痛みが出ます。
これもやはり、「半月板損傷」の名目で手術されてしまう事が多々あります。
そして今回のテーマ「中間広筋」ですが、これが原因で膝に痛みが出ることはほとんどありません。
脚の付け根から大腿中央ぐらいの範囲に症状が現れるので、骨を削ってなんぼの先生が目をつけるのは股関節か腰でしょう。
レントゲンやMRIの画像を見てもこじ付けるような異常がない患者さんには、痛み止めを出して終わり、というパターンになります。
前もって脊柱管狭窄や股関節の変形がある人は、残念ながらそちらの手術の説明が丁寧に行われます。
こういう「筋、筋膜性疼痛症候群」、簡単に言うと「筋痛症」の症状は、痛み、しびれ、熱感など個人差がありますが、なぜ人によって違うのかはわかりません。
なにせ脳が感じている事なので。
中間広筋は大腿直筋の真下にあるので直接触れませんが、大腿直筋を介して根気よく触診していくと「しこり」や「こわばり」がわかります。それで確定すれば治療は比較的容易です。
・・・が、当然、触らないとわかりません。
この辺が難しいところです。
多くの病院の先生方は、わざわざ触りません。
ですから、飲み薬が効かない時は「貴方の気のせい」という事で心療内科へ回されます。これはよくある話です。
接骨院へおいでる患者さんに時々、「なぜ病院では診察の時に触らないのか」と訊かれます。
確かに、大腿が痛くてズボンをたくし上げ、ここが痛いと見せているのにもかかわらず、そんな患者さんに背中を向けて、パソコンの画面から一瞬たりとも目をそらさない先生もおいでるようです。
「黙って座ればピタリと当たる」ですか。
以前、そんな先生の態度にイラつき「先生、私の身体はそんなに触れんほど汚いですか!」と言い放ったおばあさんもいたそうです。
コロナの世の中でしたら、そんな事を言う患者さんもいないでしょうけど。
なにしろソーシャルディスタンス、触るな、離れろですから。
身体をこねくり回してソーシャルディスタンス・ゼロの商売は、コロナの時代、接骨院くらいかも知れません。
さて、この中間広筋の諸症状の出る範囲は、まさしく図の通り。
大腿に放射状で出現します。
中間広筋の筋痛症に対しては、温熱療法やマッサージ、いろいろな電気治療など、その患者さんに合うもので治療していきます。
治療が合えば、順調に治癒に向かうのです。
これを、腰や股関節の疾患と勘違いされ、変な治療で時間を潰していると、痛みが取れず悶々とした日々を過ごす事になります。
それがストレスとなり、痛みが慢性化し、さらに範囲が広がります。
そしてあちこち痛みを訴えると、大病院の先生は頭をかしげ始め・・・
いよいよお決まりの心療内科、精神科への扉が開かれます。
患者さんも、その頃にはあちこちの痛みの為「うつ」の入口におられますので、意外とすんなりそちらへ行かれます。
実は、「抗うつ薬」は慢性痛にもよく使われる薬だったりします。
そのおかげで、意図せず本来の患部の痛みも取れる事もあります。
それはそれで、何となく一件落着してるのかも・・・?(^^;