ぎっくり尻 ~ぎっくり腰ならぬ~

ぎっくり腰ならぬ、ぎっくり尻
もちろんそんな言い方もありません。
ぎっくり腰はよく耳にしますが、別に定義があるわけでもなく、急に腰に痛みがきて動きづらくなった、程度の解釈でいいと思います。

そのぎっくり腰の中に、「お尻の筋肉が原因のもの」が半数ほどあります。
その殿筋の損傷の中でも一番多いのが大殿筋です。
損傷と言っても、いつも書いていますが「急激な筋収縮」、「攣(つ)り」です。

特に仙骨付着部と殿部中央に痛みが集中するようです。
座っていても、立っていても、寝返りをうっても痛い、それでいて何処が痛いかが自分でもよく分からない。
漠然と「腰から殿部が痛い」となり、押さえられて初めて「あぁ、そこだったんだ」と気付かれる、というようなポイントです。


「Clinical massage」James H.clay/David M.pounds著・医道の日本社刊

仙骨の際部分の圧痛が著しいため、骨がどうにかなったのかと思われますが、やはりこれも筋肉です。

皮膚の直下に骨が触れるような感じですが、人体でそんな箇所はありません。
必ず骨には筋肉が被さったり、付着したりしています。

特に付着部は筋収縮での力がかかりますので、傷める確率も高くなっています。

患者さん本人は、あくまでぎっくり腰だと思っておられるようです。
上半身を起こそうとすると痛くて力が入らないのは、腰のせいだと。

ぎっくり腰ならぬ、ぎっくり尻 大川接骨院(金沢)

「臨床家のためのトリガーポイントアプローチ」
黒岩共一著・医道の日本社刊

上半身を起こすというのは、股関節を伸ばすことです。
大殿筋は股関節の重要な筋肉ですから、これが不具合を起こすと、腰は「くの字」になってしまいます。

高齢者の腰痛患者さん独特の姿勢ですが、それは腰が曲がっているのではなく、股関節が曲がっているのです。
もちろん、若い方もそこを傷めると同じようになります。

日頃からストレッチなどで頑張っておられる方も、さすがにその体勢まで行き着くと、なかなか自力では難しいところがあります。

我慢強い方もたまにおられますが、痛みを我慢すればするほど、脳に悪影響を与えてしまいます。

速やかに信頼できるところへ受診されたほうがよろしいかと思います。

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