トリガーポイント ~筋肉の中のしこり~
「トリガーポイント」という言葉、ここ数年テレビや雑誌でも見かける事がありますので、何かの折りに聞いた事があるという人もおいでるでしょう。
定義としては「筋肉中にできるしこり、過敏点、圧痛点で、それが形成されると特異的な疼痛パターンが近くや遠隔部に現れる・・・」みたいな程度です。強い外傷後すぐに出来る場合もありますが、軽い繰返し動作による微細な筋損傷が原因となる事が多いようです。
このトリガーポイントにより起こる一連の痛みやしびれを「筋、筋膜性疼痛症候群」と言いますが、それは以前にコラムで書きました。
この疼痛パターンで代表的なものが、棘下筋のトリガーポイントによる肩から腕、指先まで放散するもの、小臀筋のお尻から太もも、ふくらはぎに出るものがあります。
棘下筋のトリガーポイントによる肩から腕、指先まで放散する疼痛パターンの図
「臨床家のためのトリガーポイントアプローチ」黒岩共一著・医道の日本社刊
小臀筋のお尻から太もも、ふくらはぎに出る疼痛パターンの図
「トリガーポイントマニュアル」ジャネット・トラベル/デイヴィッド・サイモンズ著
これらのトリガーポイントにより起こる一連の痛みやしびれの治療は、トリガーポイントや、トリガーポイントの集まる筋肉への、トリガーポイントブロック注射、鍼によるトリガーポイント鍼となります。私は注射や鍼が出来ないので、その部位への指圧やトリガーポイントマッサージ、電気治療や光線治療になります。
注射をうたれる際は、トリガーポイントを理解されてる先生にうまく当たらないと、「トリガーポイントブロック注射」を希望しても、10人のうち9人の先生に「なんじゃそりゃ、そんなとこに注射しても治らん!」と、見当違いなところに大げさなブロック注射をされます。
現在のところそんな確率ですが、根気よく良い先生を探しましょう。
トリガーポイント自体は、長年の日常生活に起因してできたり、若い人でもスポーツなどをしていれば必ず有ります。
痛くなるか、ならないかは、そのトリガーポイントが元気に暴れるか、眠っているかで違ってきます。長年眠っていたトリガーポイントが、何かの拍子で目を覚まします。不意な動作や、ともすればストレスが引き金になります。
日頃よく聞くのが「数年前に痛くなった時ヘルニアと診断された、ずっと調子良かったが最近また痛くなった」という患者さんのセリフ。
数年間痛くなかったのだから、ヘルニアが原因でないことは自明の理。ヘルニアは出たり引っ込んだりしません。トリガーポイントが暴れ出して、筋肉の痛みを出しているだけです。
こういう「ヘルニアン」の方々や、脊柱管狭窄症の診断を受けた「キョウサ君」の皆様も、腰の筋肉、臀部の筋肉、太ももの筋肉のトリガーポイントによる筋痛です。神経がどうこうじゃないんですよ、と言ったところで、聞かない人は聞きません。
ま、私が手術を受ける訳でもないので・・・。
ともすればこのトリガーポイント、人に限ったものではないのかも知れません。 最近は、犬の椎間板ヘルニアの手術が頻繁に行われています。後ろ足がへたって歩きづらくなり、検査をするとヘルニアがあるというので。
犬の後ろ足の運動量はかなりのものです。それに加え、常に繋がれ、従順なために、飼い主の顔色を伺うストレスたるや察するに余りあります。トリガーポイントが活性化する条件は揃っています。
その点、ネコではその話は聞きません。休養は十分なうえ、飼い主の顔色も見ないため、余計なストレスが無いからかも知れません。勝手な解釈ですが。
でも、犬やネコはどこが痛いとは言いませんからね。
おっと、これ以上書くと獣医さんまで向こうに回しかねませんので・・・。
追記
大川の甥が、野々市市にて動物病院を開業いたしました。「いつつぼし動物病院」よろしくお願いいたします。