「うつ」と肩こり ~首のコリが引き起こす、新型鬱の話~

ここ10年位でしょうか、やたら世間で「うつ」という言葉が聞かれるようになりました。
自立支援法の施行で医療補助の対象に含まれたのも一因かもしれませんし、精神科が心療内科というしゃれた名前で町なかに抵抗なく溶け込み、身近な存在になったからなのかもしれませんが。
接骨院でも見るからに「うつ」の気配を漂わせておられる患者さんは時々おいでます。
たいがい身体のあちこち、特に首から肩、ついでに腰の痛みを訴えられます。
それも半端ないほど、カチコチに凝った状態で。
話を聴くと、結構な割合で心療内科へ通院し、投薬を受けておられます。
「うつ」とまではいかなくても、都会では若いサラリーマンやOLの中で、心療内科へ行かれる方が増えているらしいです。
自分は神経がデリケートなもので・・・と、ある種のステータスになっているとの事ですが。
そもそも「うつ」とは、どういう症状を指すのでしょうか?
・何もする気が起きない。
・わけもなく不安。
・自分は社会に必要ない。
・わけもなく悲しい。
・物忘れが多い。
・何に対しても喜びを感じない。
など、他にも色々ありますが、このような項目にある程度当てはまれば「うつ」と診断されるようです。
しかし、近年、この「うつ」という病気を専門に研究されていた四国の総合病院の脳神経外科の先生が、興味深い意見を述べられておられます。
最近、爆発的に増えている「うつ」は、精神病である本物の「うつ」ではなく「首の筋肉」の凝りにより副交感神経に不具合を起こした自律神経性の「新型うつ」であるというものです。
「頚筋症候群」と名付けられ、その症状の一つが「新型うつ」であるとの事です。
むち打ち症でめまいや頭痛などの自律神経失調症状が出るのは、かなり昔から明記されていましたが、自殺にまで行き着く「うつ」もその症状のひとつだとは知られていませんでした。
脳が原因の「うつ」と、首が原因の「新型うつ」の違いは、 “わけもなく悲しい” があるかないか、だそうです。
要は頚筋の筋々膜症候群(MPS)に伴う「うつ」、と思いますが、なぜ爆発的に増えているのかはパソコンやスマホが普及したからです。
確かに、パソコンやスマホのし過ぎで首すじがカチコチになり、慢性的な痛みがあれば、気分がすぐれないでしょう。
実際に診療していて、そういう凝りや痛みが良くなるのと比例して笑顔の出る方もおられます。
「うつ」が良くなり凝りが取れたのか、凝りが良くなり気分的が良くなるのか、ニワトリが先か卵が先かです。

こちらは治療する方として、痛みが取れたからと都合のいいほうに考えますけれど。
その「新型うつ」を唱える先生が、それを完治する治療法を実践されているとの事です。
ビタミン剤に加え、電気治療、温熱治療などを合わせた物理療法が中心らしいです。
実際に見たという訳ではないのでいい加減な事も言えませんが、接骨院でする治療とはそれほどもかけ離れていないと思います。
が、一家言持っておられる先生ですから、何か微妙なコツがあるのかも知れません。
まぁ接骨院で治る程度のものは、その「新型うつ」のほんの軽度のものでしょうけれど、何でも軽いうちに治してしまえば重度にはなりません。
とにかく首は大事だということです。
気分が落ち込み、何もする気がなく、体がとにかくだるく、気がつけばいつも首に手が行っているような事はありませんか?
接骨院でもお役にたてる事があるかも知れません。
なにやらCMみたいな言い方ですね。