むちうち ~早期治療で長引かせない!~
「むちうち」とは、読んで字のごとく、背骨がムチのようにしなり、受傷するのでそう呼ばれます。
正式には「外傷性頸肩腕症候群」か「外傷性頸椎捻挫」です。この病名が付くときはほとんどが車の追突事故です。
ひとくちに「むちうち」と言ってもピンからキリまであります。重度は頸椎骨折や頸髄損傷を伴うこともありますが、そういう命に係わるものを接骨院で扱うことはありません。
また、筋損傷でも日常生活が著しく困難な場合も入院となりますので、接骨院で扱うのは「何とか通院できる程度」の患者さんとなります。
一昔前、シートベルト着用が厳しくなかった時代は、事故の衝撃で体が前に飛ばされ、下腿がダッシュボードに当たり、膝の皿やスネを骨折する「ダッシュボード骨折」が流行りましたが、皆さん運転マナーが良くなったのか、エアバッグの性能が良くなったのかで、あまり聞かなくなりました。
体がシートベルトで固定されているので、今の追突事故の負傷のほとんどが首や腰です。
首で傷める筋肉は、胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋などです。
胸鎖乳突筋を傷めると、めまいや頭痛、吐き気などの自律神経失調症様の症状があります。
斜角筋は、肩から腕の痛みやしびれが現れることがあります。
僧帽筋は、ひどい肩こりの症状が現れます。
しかし、これらの筋肉はほとんど同じようなところにありますので、これらをワンセットで傷めた方は、受傷後1週間程いろんな症状に悩まされることになります。
筋肉の損傷に加え、事故にあった不安や愛車にダメージを受けた腹立たしさにより自律神経がたかぶり、痛みの悪循環が形成され、事故の程度とは必ずしも比例しない症状が現れることがあります。
相当ひどい車の損傷ならば、加害者側の保険会社も申し訳なさそうに、「よく治してください」と言うところですが、外見上さほど車の被害も少なく、しかしながら痛みがひどい患者さんの場合、なかなかそれをわかってもらえません。保険会社の「まだ痛いんですか?このへんで治癒ということにしませんか?」の、こまめな問い合わせに腹立たしい思いをされている事もあるようです。
それにひと昔前は、病院の整形外科に入院しているムチウチの患者さんといえば、やたらと元気で、ともすれば病室で隠れて晩酌しているツワモノもおいでたようで、そういう偉大な先人達のおかげで、周囲からは詐病のような目で見られることも多々あり、それが一層ストレスになり痛みを長引かせる原因の一つになっているようです。
治療としては、以前は頸椎カラーを巻き、一目でむちうちとわかるようなことをしていましたが、あれはさほど意味もないおまじないみたいなものでしたから、最近はあまり見かけません。
病院などは、ほとんど湿布と痛み止めの処方で済ますところが多いようで、「しばらくは安静にして患部には触らない方が良い」との説明をされ、結局最後までなにもしない、ということもこれまた多いようです。
外見は大けがでもありませんし、リハビリ担当の先生の手間を考えると・・・そこは病院の都合というもので、わからないでもありませんが。
しかし、傷めて少なからず炎症を起こして強張ろうとしている筋肉は、早期に滑らかに整えてやれば痛みも素直に緩和されていきます。
大川接骨院では、受傷2,3日後からマッサージや電気治療を始めていますが、それで痛みが増したという患者さんはまだいません。
首の痛みや肩の痛みに慢性的に悩んでおられる方で「昔、むちうちをしたから」という言葉を聞くことはよくあります。
実際診察して、それが関係しているのかいないのかはわかりませんが、少なくとも、あと後になってそれが原因だと思い当たることの無いよう、その時の怪我はその時に、という感じでしっかりと治してしまうのがよろしいかと思われます。