「鵞足」~がそく、ガチョウの足に似た形の膝の内側の筋肉~
「鵞足炎」
足の屈曲運動のやりすぎが原因となる膝下内側の痛み
石川県金沢市の八日市町にある接骨院「大川接骨院」の院長の大川です。
このコラムでは、院長が接骨院の現場でよく見る症例、思うことなどを綴っております。
今回のコラムのテーマは「鵞足」です。
「鵞足」、「がそく」と読みます。「鵞足」とはつまり、ガチョウの足の事です。
膝の内側のスネには「縫工筋」「薄筋」「半腱様筋」の3つの筋肉が付着しています。
人体最長の「縫工筋」は骨盤外側のグリグリから、「薄筋」は内股の付け根から、「半腱様筋」はお尻の坐骨からと、それぞれ三方向からスネと連結しています。
「Clinical massage」James H.clay/David M.pounds著・医道の日本社刊
この各筋肉とスネとの付着部が、ガチョウが足を広げた形に似ているので「鵞足」(がそく)と呼ばれています。
ランニングやジャンプの反復などで鵞足(がそく)に痛みが出ると、「鵞足炎」(がそくえん)の病名がつきます。
この鵞足を形成する3つの筋肉の反対側は、すべて骨盤に付着しています。
骨盤から膝関節をまたいでスネに付着するこれらの筋肉が収縮することで、膝関節が曲がるのです。
「鵞足炎」の原因は、スポーツでの過度の屈曲運動で傷めるものがほとんどです。
これが骨盤側の筋付着部で痛みが出ると、以前に書いた「グロイン ペイン」になります。
膝の内側の痛みは大腿四頭筋の内側広筋が原因となっている事が多いのですが、鵞足の痛みもそこそこの頻度でお目にかかります。
鵞足の痛みの場合は、内側広筋の痛みより少し下のスネ寄りなので、識別は簡単です。
しかし高齢の方がそこに痛みを訴えると、MRIなんかを撮り、変形性関節症だの半月板が擦り減っているだのと、ややこしい話になる事もあります。
高齢者の方の膝や腰をMRIやレントゲンで診たら、変形や軟骨の擦り減りのない人を探すのはほとんど不可能な事だと思うのですが、どうしてそこに眼を付けるかっていう話です。
こうして接骨院の現場で診ていると、鵞足部のピンポイントでの痛みを訴えられる患者さんは少ないようです。
筋肉の付着部に負担がかかっているのですから、当然その筋肉全体にも負担がかかります。
そうなると薄筋なら太ももの内側の痛み、半腱様筋なら太ももの裏側の痛み、縫工筋なら太もも前面から鼠径部の痛みが出現します。
全部同時に出た日には何が起きているのかと、本人はちょっとしたパニックになります。
治療は特に安静などは必要ないのですが、開脚をして内股をまめにストレッチして下さい。
治らなければ電気治療やマッサージですね、いつでもおいでください(^^)
「接骨院」や「ほねつぎ」は、その呼び方ほど怪しく危なっかしいところでもありませんよ。
たまに訳の分からないことをする施術所もあるかもしれませんが・・・。