テニス肘~どうしても運動したい、仕事で使わない訳にはいかない方へ~
「テニス肘」
代表的なスポーツ障害ですが、テニスに限らずラケットを振るスポーツ全般に起こります。
長、短の橈側手根伸筋、腕橈骨筋という筋肉を傷めたものです。
正式には「上腕骨外側上顆炎」と言います。「骨」と名に付いてはいますが、上腕骨の外側上顆に付着しているそれらの筋肉の痛みのことであって、骨がどうこうという話ではありません。
橈側手根伸筋、腕橈骨筋は、手首を反らしたり、肘を曲げる筋肉なので、もちろんスポーツ以外でも「テニス肘」は起こります。
建築作業等でもよく見られ、むしろ、日常よく診る分にはそちらの方が多いと思います。
テニスのバックハンドで打つ時に傷める頻度が高いということで、「テニス肘」という言い方をしています。
「テニス肘」の場合、さすがに肘の炎症や圧痛が著明ですので、首の神経がどうのと言われることもあまりなく、手術の心配もいりません。
治療は、急性期の肘の使用制限や物理療法、ひどくなれば病院で抗炎症剤の注射なども行われます。
どうしても運動したい、仕事で使わない訳にはいかない、という場合には、筋肉の付着部にかかる負担を軽減するために、前腕にパッドのついたベルトを装着します。
「テニスエルボーバンド」で探せばどこにでもあります。
バンドの代わりに「テーピング」という手もありますが、ただ上腕から前腕へ肘をまたいで貼り付けても意味がありません。
肘の3、4横指下にぐるりと巻かないと、痛みの軽減にはなりません。
ただし、前腕を長時間締め付けると血行障害を起こします。そうなると取り返しのつかないこともあり、大変危険なのでお勧めできません。
そもそもどの部位であれ、テーピングはあくまで試合中などの応急処置です。
そして、する時はガシッと。
それでも効果はせいぜい15~20分程度、それ以上になると血流も悪くなり、ジンジンと余計に痛みが出てきます。
頻繁にテーピングをしたいということであれば、テーピングではなく、関節をそれなりに制御するようなサポーターを着けることをお勧めします。
時たま、「次の日に試合があるので、テーピングをしてほしい」と希望される方もおられますが、「そのまま張り付けて、翌日まで差しさわりのない程度の強さ」では意味がなく、キズの絆創膏感覚でしかありません。
ですから、私は張り方を教えて、当日、試合の少し前にするようにと言っています。
実際のところ、私はテーピングは好きではありません。
かぶれやすいし、しょっちゅう張り替えなくてはいけないし、お勧めできるものではありません。ですから、当院でテーピングをした記憶はありません。
それでも、テーピングが好きな先生は好きなようで・・・
どこの捻挫であろうと、テープをベタベタゴテゴテと貼り付け、聞けば先生の指示で何日もこのまま、お風呂も貼ったまま、と、ペットペトのモノをくっ付けておいでる患者さんを診る事があります。
「・・・もしかして○○病院で?」と訊ねれば、最近では正解率100%です(^^;
テーピングは施行する先生の思ったように貼っていきます。「これ」という絶対的なものも無いため、なんとなく「その先生のクセ」みたいな感じが貼り方に現れます。
どうせなら、鎮痛消炎剤の湿布を細長く切って、そんな風に貼っておいた方がいいんでないかい・・・、と思うことしばしばです。
話は逸れましたが、「テニス肘」のストレッチは、肘を伸ばし、前腕を内側に捻り、ゆっくりと手首を手のひら側に曲げていって下さい。
ストレッチの基本は、(痛)いた気持ちいい程度です。歯を食いしばって我慢してまでするものではありません。